SS「二人の距離」

あれれー?僕の休日がないよー?


というわけで休日返上で労働してきました僕です。僕が休みの日にピンポイントで
体調を崩されるから困る。それも込みで僕の仕事だから働きますけどね。
そういえばちゃんとご紹介してなかったのでここで。
長門式に訪問してくださる素敵なSS書きであられるサクヤさまのサイト
I was snow that was danced and gotten offでございます。
僕には書けないようなラブい長キョンをハイペースで書かれておられます。
見習いたいものです。ではではお返事に。


>yuさま
いつもありがとうございます。ちょっとばかり無理がありすぎたかなと思いましたが
頑張ってみました。今後はもう少し自然なストーリー作成を心がけたいと思います。

>サクヤさま
いつもありがとうございます。ハルヒからツンを取ったらやばいですよね、きっと。
ストレートに気持ちをぶつけてきそうで……いや、それでも僕は長門さん一筋でっ!


コメントありがとうございます。みなさまのコメントがあるから僕も生きていけます。
本当にありがとうございますですよ、本当に。

そして今日のSSですが、おもいっきりサクヤさんのSSに影響されたというか、
そんな作品です。怒られないかなぁ……。あらかじめ謝っておきます。ゴメンナサイ。
相合傘をキーワードに、僕が書いてみたらこんなふうになりました。
それでは本文です。どうぞ。


二人の距離


傘。

そう一言でまとめてしまえばそれまでだが、その種類は数限りない。

百均で売ってるビニール傘に始まり、超高級ブランド製の何万円もするような傘まで。

まさにピンキリだ。

俺に言わせれば、傘など雨から身を守れればなんだって一緒だけどな。

目的が達成されるのならばどんなものでも構わない。

一本数万円の傘をありがたがる人の気が知れないぜ。

「わたしもそう思う」

隣を歩く小柄な少女も俺と同意見のようだ。

些細なことだとは思うが、自分が愛する人と同じ気持ちでいられるのは嬉しいもんだ。

その長門の傘は、ぱっと見にも小さく思える。

長門と比べれば体の大きい俺の意見というわけでなく、一般的世論としても

そう結論付けられることうけあいだ。

長門はどちらかと言えば小柄に分類されるし、それを考えれば傘だって必然的に

小さいものになる。

しかし、それでも俺には小さすぎるように思えるんだよな。

「大丈夫。わたしはこれで十分」

「そうなのか?」

こくりと頷く長門。

「目的を達するには十分」

「ならいいんだけどよ」

しかし、それはあくまで通常の使い方をした場合の話だ、長門よ。

「ちょっと無理があったかもな……」

そう、現在この傘は──

「ハアァックション!」

誰がどう見ても定員オーバーだった。





「まいったな……」

昇降口から空を見上げれば黒い雲が視界の限りを埋め尽くし、これでもかと言わんばかりに

雨を降り続けさせてくれやがる。

傘を持ってこなかった俺が悪いとはわかっちゃいるが、そうだとしてもすんなり

割り切れないのが人間という生き物だ。

こういう日に限ってSOS団の活動が休みだというのだから恨めしい。

朝比奈さんに頼めば、きっと途中まででも一緒の傘に入れてくれることだろう。

「わざと忘れてくるのもいいかもな……」

なんて一瞬思ったが、俺の計画がうまくいった試しなどあっただろうか。

いくら俺があれやこれやと考えたところで、結局最後はハルヒの奴に振り回されるに

違いない。

「考えるだけ無駄……か」

余計なことは考えないことにしよう。

時間の無駄にしかならない。

とりあえず次からは五十パーセントでも折り畳み傘を持ってくることにする。

そう心の中で固く誓い、下校の行動プランを即座に組み立てる。

走れば歩きよりも多少時間は短縮できるだろうが、足場が悪いことを加味して

計算するとなると──

「何してるの」

「……長門か」

声のしたほうを見やれば、相変わらずの無表情を顔面に貼り付けた長門が立っていた。

「何って、計算してるんだよ」

この状況でどれだけ短時間で帰宅できるか、のな。

「それなら、大体これくらい。あなたの走力、持久力からすれば、おそらくこの程度だと

思われる」

「おお、さすが長門だな」

たいしたもんだ。

一瞬で最短のルートを計算したというのか。

「どうしてそんな計算する必要があるの」

そりゃ、傘を持ってきてないからだ。

そうでもなきゃ効率のいい帰り道なんて考えないさ。

「……それなら、その計算結果はすぐに破棄すべき」

「え?」

マヌケに疑問符を浮かべる俺を尻目に、長門はカバンから折り畳み傘を取り出した。





「遠慮しないで」

「そうは言うがな……」

帰り道。

今の時刻は五時過ぎといったところか。

俺は補習、長門は図書室で読書をしていたようでこんな時間になった。

まさか鉢合わせになるなんて思いもしなかったぜ。

俺からすれば渡りに船だったけどな。

まあ、必然的に相合傘になるよな。

おっと、俺たちの場合は愛々傘ってのはどうだろう、長門。

「……ユニーク」

あまりお気に召さなかったようだ。

俺自身もくだらないと思っているがな。

この時間、部活に所属していない学生はとうに帰宅し、部活に所属している学生は

校内で各々の活動に励んでいるためか、この通学路に北高の学生は見受けられない。

そうでもなきゃ、いくら長門の提案であろうとも相合傘なんて恥ずかしいマネは断って

雨に打たれて帰宅することを選択していたことだろう。

通りすがりの主婦や子供に見られるくらいは我慢できるから、長門の申し出を

受け入れたんだ。

俺が遠慮しているのは、恥ずかしいとかそういうことではない理由があるんだよ。

「そしたら長門、お前が濡れちまうだろうが」

これは長門の傘だ。

長門が好意で入れてくれた傘に俺が入って、そのせいで長門が濡れてしまうのは

間違ってる。

そう思うだろ?

しかし長門も頑固なもので、譲ろうとしないんだよ。

「平気」

長門がそう言ってくれるんだから、まあ、遠慮する必要もないのかもしれないけどさ。

きっと長門の宇宙人的な力を使えば雨を防ぐ事だって容易だろう。

それこそ傘なんてものが無くても。

でも、そういう問題じゃないんだよ。

「長門の傘なのに長門が濡れるのは間違ってる。第一、悪いのは傘を持ってこなかった

俺なんだしさ」

「いい」

頑固だね、お前も。

けどな、俺だって自分の決心をそう簡単に捻じ曲げたりはしないぜ。

「今日はダッシュで帰ることにする」

ゆっくりなペースとはいえそれなりに歩いたしな。

ここから走るならたいした距離じゃない。

カバンで頭をガードして、家に着いたと同時にシャワーでも浴びれば風邪の心配もないだろう。

元々濡れるの覚悟で帰ろうとしていたとこだったわけだしな。

少し雨に打たれるくらい何でもないさ。

「ここまでありがとよ。助かっ──!


ぐいっ


「これで大丈夫」

入れてもらった手前俺が傘を持っていたんだが、さっきも言ったとおりこれは長門の傘だ。

「いや、大丈夫かもしれないけどさ……」

その傘を手渡そうとした瞬間、傘を持っていたほうの俺の二の腕に長門がしがみついて

きたんだ。

そりゃ、さっきまでみたいにただ隣を歩くより距離が近づいたんだから、雨を凌ぐという

意味では効率的だろう。

効率的ではあるが、

「長門。傘が持ちづらいんだが……」

当然だけどな。

「問題ない」

なんだよそれ。

表情を変えることなくサラリと言ってのけやがる。

「これなら二人とも濡れない」

「まあ……確かにな」

「それに、あなたをとても近く感じる」

「長門……」

それだけ言うと、長門は前を向いて再び歩き出す。

引きずられるように歩く俺。

「やれやれ……」

そんなこと言われたら何も言えないじゃないか。

結局言いくるめられちまったな。

ま、今日の主導権は長門にあるようなもんだし、素直に従っとくとするか。





六月も下旬を迎えた今、大半の学校は衣替えを終えていることだろう。

もちろん北高とて例外ではなく、この季節を過ごしやすい格好で誰もが登校している。

それは当然俺と長門にも当てはまることであり、傘を持つ俺の腕は直に長門の素肌と

絡まっている。

適度に強く俺の腕にしがみついてるせいもあって、長門が意識してるのかどうかは

わからないが、その、なんだ。

「……」

まあ、なんというか、あれだ、あれ。

さっきから当たっているんだ。

「…………」

俺の腕が。

長門の胸に。

「…………!」

ボリュームが、とか、朝比奈さんのほうが、とか少しでも思った奴はそこになおれ。

俺が根性叩き直してやる。

こういうのはな、そうじゃないんだよ。

このシチュエーション自体がいいんだよ。

正直言って嬉しいシチュエーションだ。

それは認めよう。

異議などあろうはずがない、満場一致だ。

でもな、この状況はよろしくない。

何がよろしくないかって、俺だって人並に健康な体に健康な魂を宿す若者だ。

いくらSOS団という非常識が常識であるような組織に籍を置いているとはいえ、俺という

人間の属性はあくまで一般人。

考えようによっては、特殊な能力、特殊な背景を持つSOS団の中ではそれが特殊と

言えなくもないかもしれんが──脱線してしまったな。

とにかく、このままじゃどうにかなっちまいそうだ。

名残惜しいものもあるが、この風紀の乱れつつある世の中だからこそ節度ある付き合いを

心がけねばいかんと思うんだ。

「なあ、長門」

「何」

「悪いが、少し──」


離れてくれないか


言いかけて、言葉を飲み込んだ。

この言葉は、たとえ他意がなかったとしても長門に言ってはいけないような気がしたから。

本来こいつはハルヒを観測するのが存在意義だった。

すなわち完全なる第三者。

長門がSOS団に身を置くのもハルヒが望んだだけの偶然であり、俺と付き合っているのは、

まあ、俺が望んだからではあるが、長門の本来の存在意義には全くの無関係のはずだ。

言ってしまえば、長門がハルヒを観測するだけなら俺という存在を無視しても何も問題など

ありはしない。

今でこそハルヒにとっての鍵とかいう奇妙な立場を、不本意ながらも与えられて

しまったけどな。

けど、ハルヒによる新たな世界創造から戻ったとき、長門は言ってくれた。

身の危険を心配する俺に。

今でも鮮明に覚えている。




あたしがさせない




だからという訳じゃないが、俺も長門を守ってやりたいと思ったんだ。

もし朝倉なんかに聞かれたら鼻で笑うだろうけどな。

笑いたい奴は笑えばいい。

それでも俺の想いが変わることはない。

絶対にだ。

そして俺は長門を守ると約束した。

長門に悲しい思いをさせない、ともな。

その約束にヒビが入りそうな発言は避けるべきだ。

余計な不安や心配はさせたくない。

「いや……その……」

どうごまかしたものか。

「よく聞こえない」

「うおっ」

そう言うなり、長門はさらに俺の腕を引き寄せるようにしてその体を密着させてくる。

「長門!?」

長門の顔がすぐそこにある。

どれくらいといえば、その両の瞳に無様に慌てふためく俺が映っているのがわかるくらいだ。

「もう一度聞かせて」

甘い、それでいて素朴な優しい香りがする。

その香りに導かれるままに唇を重ねたくなってしまうが、人通りがないとはいえ

ここは天下の往来だ。

自重しろ、俺。

「えーっと、だな……」

何でもいい、何か言わなければ。

「長門」

まっすぐに俺を見つめる長門の視線を、俺も正面から受け止めて口を開く。

「好きだ」

バカか、俺は。

ごまかすにしてももっとうまいセリフがあるだろうに。

顔が急激に熱を帯びていくのがよくわかる。

自分で言った赤面してりゃ世話ないよな。

頭の中がパニックだ。

「いや、そうじゃなくてだな、俺が言いたいのは──その……んっ……!」

なんとか状況の打開を試みたんだが、俺がみっともない言い訳を最後まで紡ぐことは

許されなかった。

「……わたしも、あなたのことが好き」

長門の唇に阻止されて、な。





「傘」

「え?」

空を見上げて言う長門の言葉が意味すること。

それは、雨が止んだ事実。

あれだけ降ってたのに、コロコロとよく変わるもんだ。

まるでハルヒのようだな。

傘の水を切って折り畳んでいると、長門が言った。

「雨を降らせるにはどうすればいい?」

「雨を降らす?」

長門の力を使わないとなると、おまじない程度のもんだけどな。

「日本にはてるてる坊主ってのがあってな。遠足の前日とかに作って──って、雨を

降らすには?雨が降らないようには、じゃないのか?」

「そう」

なんだそりゃ。

どうして雨を降らせたいんだ。

俺の疑問に、珍しく内面だけでなく、その表情に感情を反映させて長門は言ったのさ。





「……相合傘」


おしまい

長倉劇場という名のあとがき

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この記事へのコメント

サクヤ
2007年06月23日 02:39
いやはや…大々的に公表されるとは思わなかっただけに、
嬉しいやら恥ずかしいやら…
こちらこそ、毎度ご訪問頂いてありがとうございますー。
とても褒めすぎな気もしますが…w
ともあれ、自分の書いたSSに影響を受けて下さったのは
とても嬉しい事です、ありがとうございます。
しかし、自分はういろうさんのSSを参考にしつつ書いているわけですので、
やっぱり見習うべきはういろうさんだと思ってますよ~。
いつも素敵なSSを拝見させて頂いてるので、
自分も触発されて意欲が増すのです、改めてお礼をば。
そしてSSの内容ですが、
終始ニヤニヤしてましたよ、とてもよかったです(笑
怒るなんて滅相もない、そこはどんどん使ってください。
と、ういろうさんもおっしゃっていたようにー。
しかし、同じシチュエーションでも書き手によっては
本当に違いが出てきますね。だからこそ楽しいんですけどね~。
今日もご馳走様でした、次回も楽しみにしております!

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